くすり学生マガジン
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試験の合格率

辞書

薬剤師試験のこれまで

薬剤師試験は日本においては歴史が古い資格試験の一つであり、2015年にはちょうど第100回試験を迎えることになりました。

しかし同じ医療系資格試験である看護師試験や医師免許試験などと比較してその試験制度は決して安定的なものではなく、これまでの歴史の中で何度か変化してきています。

特に大きな変化となったのが2003年の試験からであり、それまで4年制の大学薬学部を卒業すればよかった受験要件が6年制になりました。

それまで薬剤師の仕事というと病院内の薬剤部に勤務をして医師による処方箋の内容に従って決められた薬剤を出すというだけのものだったのですが、調剤薬局やドラッグストアなど病院外で薬品を調剤できるように規制が緩和されたことで急激に資格者の社会的ニーズが高まりました。

そこで規制緩和に合わせて試験制度も大きく変更させ、全国に薬学部のある大学を増加させるとともに試験制度も改革をすることになったのでした。

しかしその結果全国に急増した大学間の格差は広がり、定員割れの大学が出るなど新たな問題を生み出すことにもなっています。

現在薬剤師として免許登録をされているのは約31万人と言われており、さらに毎年8000人程度の新人薬剤師が誕生してきています。

薬剤師の合格率の推移について

薬剤師となるためには6年制の薬学部を卒業するなど学歴による受験要件を満たしたあとに年に一回開催される薬剤師国家試験で合格をしなくてはいけないこととなっています。

しかしこの国家試験はかなり難易度が高い試験となっており、6年間という長い時間を学習してきた人であっても全体の約60%程度しか合格をすることができません。

医師や看護師の国家試験も同様に大学や専門学校など定められた学歴を修了してから試験をすることとなっていますが、その後に受ける国家試験の合格率は約90%程度です。

つまり薬剤師となるためには学校に入ればよいというわけではなくその後にかなりの勉強をしないと資格取得をすることができないということになります。

ただし過去の合格率を見ると80%以上で横ばいとなっていた頃もあり、ここ数年で急激に試験の難易度が高まったということがわかります。

薬剤師試験で大きなインパクトが与えられたのが2011年の第96回試験のことで、このときにはなんと過去最低の44.44%という大変低い合格率となってしまいました。

そのときの衝撃がよほど強かったのか、翌年の第97回試験の合格率は88.31%と今度は驚くほど高い数値となっており、現在では60%程度に平均的に落ち着く形となっています。

社会的な需要と合格者の動向が不安定

なぜ薬剤師試験ばかりがこのような乱高下をしているかというと、それは薬剤師試験の改革がまだ安定していないということと、もう一つ社会的な薬剤師需要が不明確であるということがあります。

薬剤師の資格者が社会的に高いニーズになると言われて急増した薬学部ですが、蓋を明けてみるとニーズが高まりは予想していたほどではありませんでした。

また医薬品のネット販売など薬の販売に関する法律についても将来が見えない不確定要素もいくつかあり、実際のところこの先10~20年先に薬剤師がどういった場所で活躍をすることになるかをはっきりと予想することができません。

現在のところ言われているのが今後も少しずつ薬剤師の資格者需要は伸びていくのでしばらくは売り手市場での就職環境が続きますが、ある程度のところまで来るとそこから先急増することはないので、以後は薬剤師同士でかなり厳しい職場争いが起こるのではないかということです。

薬剤師を目指し長く働くなら、今のうちにしっかりとスキルをつけておくのがよい方法といえるかもしれませんね。