進むジェネリック医薬品の使用
欧米においてはごく一般的に普及をしているジェネリック医薬品ですが、日本においては今もなお社会全体に普及するまで時間がかかっているというのが実情です。
先に「ジェネリック医薬品」とは何かということを説明します。
通常使用されている医薬品は「先発医薬品」と呼ばれ製薬会社によって研究開発をされた製品です。
それに対して「ジェネリック医薬品」は「後発医薬品」と呼ばれ、先発医薬品として先に販売流通してきた薬品と同じ成分を使った医薬品のことをいいおとの製薬会社ではない会社が独自の工場などで生産したものです。
私達が普段使用をしている薬は、その価格の中に製造のための材料費や作業費といった実質的な原価だけでなくその薬を作るまでにかかった研究開発費が上乗せされています。
開発をしてから数年間は独占的に開発メーカーが販売できるように特許期間が定められているのですが、その特許期間経過後には薬の成分について他のメーカーも同じ内容で自由に製造ができるようになります。
つまりジェネリック医薬品とは、そうした特許期間が経過したことにより販売価格に研究開発費を乗せない価格で販売をすることができるようになった薬品ということです。
参考>>日本ジェネリック製薬協会|ジェネリック医薬品について(一般向け)
日本におけるジェネリック医薬品の普及率
日本においてジェネリック医薬品の使用が勧められるようになったのは平成22年ころからです。
この背景にあるのは年々高まる社会保障費のためで、できるだけ同じ病状ならジェネリック医薬品を使用して治療をするようにして医療費を抑制することが国から病院などに通達されました。
その結果平成22年ころには22.4%の普及率であったジェネリック医薬品も平成25年度には27.8%になり少しずつながら社会的にその存在も知られるようになってきました。
数量としてのシェアはかなり高まっており、平成25年からの集計データしかまだないものの既に44.9%にまで達しているということもわかっています。
厚生労働省ではさらにジェネリック医薬品が広く使用されるように高い目標を設定しており、平成30年までには数量シェアを60%にまで高めることを掲げて取り組みの策定をしているとことです。
ジェネリック医薬品医薬品についての認知度を高めるためのセミナーも薬剤師や一般の人向けに多く開催されており、今後も徐々に使用シーンは広がっていくことが予想されます。
普及のスピードが早まらない理由とは
少しずつ広がってきているジェネリック医薬品ですが、これは欧米などに比較して決して高い割合ではありません。
なぜ価格が安く患者さんにとって使用がしやすいジェネリック医薬品が広がっていかないのかということについてはいろいろな理由がありますが、中でももっとも大きいのは先発医薬品メーカーが売上確保のために病院などにジェネリック医薬品への置き換えをしないようにはたらきかけているからとされています。
ジェネリック医薬品が急激に普及すると当然のことながらそれまで高いシェアを確保してきた先発医薬品メーカーの既存売上が激減しますから、そのために新薬の開発や研究のための設備投資ができなくなってしまうことが心配されているのです。
そのことは製薬会社のMRから薬剤担当者に十分に伝えられていることもあり、病院で処方箋を発行するときに仮に患者さんがジェネリック医薬品の使用を希望しても置き換えができないようにするという書類形式をとっていることがよくあります。
しかしながらジェネリック医薬品が世に出るようになって時間が経過したこともあり、ようやくここにきて新薬メーカーばかりを保護する仕組みが崩れてきつつあります。
ジェネリック医薬品メーカーもきちんと独自の方法で営業ができる技術がついてきたようで、これからは普及のスピードも加速していくのかもしれません。