くすり学生マガジン
  1. >
  2. >
  3. 第100回薬剤師国家試験について

第100回薬剤師国家試験について

テキスト

2015年度薬剤師国家試験の総評

薬剤師国家試験は2015年2月の試験をもってちょうど第100回目を迎えました。

過去100回の試験の中には何度も試験制度の改革があり、そのたびに受験生は混乱をしたり思わぬ試験結果を受け取るようなことになりました。

特に第96回試験での過去最低の合格率(44%)は大きな衝撃を薬剤師業界に投げかけたものですが翌年には逆に過去最高の89%の合格率となるなどここ数年の間の乱高下はかなり目を引くものとなっています。

ここ20回くらいの試験の様子を追ってみると、第70回試験くらいまでは薬剤師の資格試験での合格率は80%台の後半を横ばいで維持していたものの、第77回試験で80%を割り込んだことを契機に以降は70~80%台の低い合格率が続くことになりました。

さらに第96回試験での大きな落ち込みのあとには平均的な合格率は60%台となり、以降もじりじりと右下がり傾向になっていくのではないかと予想がされているところです。

第100回試験はここ数年の傾向同様難易度が高めに設定されており、問題傾向もより実践的な現場での知識が問われるようになっています。

出題ミスにより補正が入る

第100回試験のもう一つ大きな特徴になっているのが、出題ミスにより試験後に補正が入れられることになったということです。

ここ数年の傾向で年々試験内容の難易度は高くなってきているため、昨年の第99回試験よりも合格率は下がると予想がされていたのですが、実際にはその補正のためむしろ合格率が昨年よりも上昇するという結果になりました。

補正では出題された問題のうち3問が「解なし」という正解がない問題として全受験者がその設問を正解したとみなされたというほか、11問が何らかの形で補正を受けることになりました。

これは単純な出題ミスというにはあまりにも問題数が多いことからまさに前代未聞の事態として薬剤師以外の業界でもかなり話題になりました。

深読みをするとあまりにも試験内容が難しかったために合格率が激減してしまうことをおそれ、補正という方法で対応をしたのではないかとも言われるくらいです。

この補正がおこなわれたことにより全員が5~6点は底上げが入れられることになり、合格ラインギリギリであった受験者はかろうじて命を救われることになりました。

しかしこうしたことが起こったことで、次年度2016年の第101回試験の予想がしづらくなったというのは確かです。