薬剤師になったきっかけはありますか?
【薬剤師歴15年 調剤薬局勤務 Rさん】
薬剤師になったのは、自分自身が昔から体が弱く何度も病院に通っていたという過去があったからです。
当時は調剤薬局という施設はまだ一般的ではなく病院内で薬を受け取っていたのですが、何度も通っているうちに薬を出す薬剤師さんと知り合いになり薬についていろいろと話をしてくれるようになりました。
私は子供のときに自分だけが体が弱いことをコンプレックスに思っており、なかなか周囲と打ち解けることができなかったのですが、当時の病院にいた薬剤師さんに励まされることで前向きな気持ちで病気と闘っていくことができました。
その後何度か進路を尋ねられる機会は学校内でありましたが、自分が将来をかけて長く続けていきたい仕事はなにかということを突き詰めて考えた結果、薬剤師を志すという結論になりました。
もともと文系科目が得意だったということもなり薬学部への入学試験は簡単ではありませんでしたが、かなり本気の努力をすることで何とか念願の志望校に入り無事に資格取得をすることができました。
薬剤師としてのやりがいは何だと思いますか?
薬剤師として勤務を始めてみて、予想はしていましたが実際の業務の大変さには驚きました。
普段患者として病院を訪れたときなどは丁寧に話を聞いてくれたり、質問に対して親切に応答をしてくれていたので比較的のんびりとした職場なのかと思っていたら全く逆でした。
むしろ忙しい業務の中でいかに患者さんやそのご家族に丁寧に接していくことができるかということが薬剤師としての重要の役務となるのだなということを実感しています。
勤務先によって違いはあるのでしょうが、私の勤務している調剤薬局では午前中の往診後の患者さんの数は相当なものであり、一人の受け持つ窓口に次々処方箋が回されてくるなんていうことは当たり前となっています。
仕事をしていると時にお待たせをしてしまっていた患者さんから厳しい叱責を受けるようなこともあり、毎日が修行と思いながら仕事をするつもりでいます。
ですがそうした忙しい中でも長くお付き合いをしている患者さんからねぎらいの言葉をもらったり、回復を喜ぶような声が聞かれたりするためそれが大きな仕事の励みになっています。
やはり自分の担当する患者さんの良くなる姿を見ることが薬剤師としての最大の喜びなのだと実感しているところです。
これから薬剤師を目指す人達へのアドバイスは?
薬剤師という仕事はここ数年で大きな変化を迎えています。
薬事法の改正や規制緩和によって薬剤師の仕事の自由度が高まったというのは喜ばしいことなのですが、反面で薬剤師一人ずつのスキルに大きなばらつきが出てしまったり、薬学や調剤以外の仕事のスキルが高く求められるようになってきたりしています。
今の時点で薬剤師業界の将来の全てを予想することは正直不可能だと思います。
ですのでこれから薬剤師を志す人達には、例えどのように制度が変更していったとしても柔軟に対処をしていくことができるような幅広いスキルと、何があっても薬剤師を続けていくのだという強い意志と情熱を持ち続けていってもらいたいと思っているところです。