くすり学生マガジン
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知的好奇心を持つこと

知的好奇心

薬剤師としてのキャリアパスについて教えてください

【薬剤師歴15年 病院薬剤部臨床薬剤科管理職 Mさん】

薬剤師としての仕事は今や非常に多様化しており、キャリアパスといっても決して一本道ということにはなりません。

むしろスタートラインからどの方向に進んでいくかということを決めることから始めないと、きちんと長期的なキャリアを描くことは出来ないと言ってもよいくらいです。

私は駆け出しの頃は病院内薬剤部の一員として同じチームとして勤務をする医師や看護師たちとともに入院患者さんのための調剤業務をしてきました。

しかし長く勤務をしていくうちに、もっと自分独自で判断して業務を担当する薬剤師になりたいと思うようになり、一時退職をして研究職に入りました。

大学院で薬剤について研究をするうちにやはり薬剤の先進国である欧米での経験は絶対に必要ということに気づき、20代ギリギリの時期に数年間海外での病院で薬剤の研修を受けました。

帰国後には一端大学に入りましたがやはり実際に臨床の場で薬学の知識を活かしたいと思うようになり、現在の総合病院へ就職をしたのです。

それまでのキャリアを非常に高く買っていただいたということもあり、現在では薬剤部の臨床薬剤科で管理職としてスタッフをまとめる立場にあります。

研究職と臨床の場との往復で伸びたスキルは何ですか?

薬学の分野にいて長く新薬についての学習をしていて実感をするのは、日本国内だけの情勢では圧倒的に情報量が足りないということです。

日本国内においては数十年前に比べてかなり規制は緩和されたものの、それでも米国と比較して新薬の開発スピードは圧倒的に遅く、仮に研究により新薬が開発されてもそれが臨床の現場で使用できるようになるまでには長い時間が必要になります。

どちらの制度がよいかということの判断はともかくとして、新しく開発された新薬についてその検証をしていくためには臨床の現場での導入は欠かせません。

そうした新薬の臨床研究や新たに発見された薬学の論文を読むためには、かなり高い語学力と海外の製薬に関わる状況把握が必要になってきます。

私の場合は純粋に薬学の研究をしたいという思いの課程で必要となったために半分やむを得ず身につけていったスキルですが、そうした国際感覚は今後より多くの薬剤師が必要となるものと確信しています。

長く研究を続けていくための心がけは?

何と言っても薬剤について本人は強い興味を持ち続けることが重要と考えます。

今いろいろと振り返ってみても薬学の研究を続けるということは難しい事項も多く、私自身何度も投げ出してしまいたいと思ったこともありました。

ですが自分の薬学についての興味と知的好奇心がそうしたつらさに勝っていたため、現在までこうして研究を続けることができたのだと思います。

薬剤師の仕事には厳しい臨床の現場だけでなくもっと時間に余裕を持って勤務ができる職場もたくさんあります。

ですがどのような現場であっても薬剤についてもっと知りたいという薬剤師本来の業務への知的好奇心は失ってほしくないですね。