最短で薬剤師になるためには
薬剤師としてデビューするためには薬剤師の国家資格を取得する必要があります。
逆に言えば薬剤師の国家試験に合格をしないうちは薬剤師として現場に出ることができないということになります。
司法書士や行政書士といった法律系の資格は国家試験を受験する資格はなく誰でも受験ができるのですが、医療系の資格はそういうわけにはいきません。
薬剤師の受験資格はいくつか定められていますが、その中でも最も早くに取得ができるルートは学校教育法における大学で正規の薬剤師課程を経て卒業をするということです。
他にも海外の学校を卒業した場合の規定もありますが、基本的には大学に入学して最低6年間の養成課程を受講する必要があります。
なお薬剤師養成課程は2005年以前までの入学者は4年制となっていましたが、それ以降現在に至るまでの間の進学者は6年制となっています。
国立大学の一部ではまだ当時のまま学習過程を変更しておらず4年制として学生を募集しているところもありますが、薬剤師試験の受験資格はそちらを卒業するだけでは得られません。
4年制の薬学部を卒業した場合にはその後残りの薬剤師養成課程を学ぶことができる大学院や6年制の薬剤師養成課程のある大学に編入しなくてはいけません。
つまり高校卒業後最低でも6年間は学習をしなくてはいけないということになるため、薬剤師として仕事をすることができるのは最短でも24歳からです。
学校によってかなり開きがある試験合格率
薬剤師になるために必ず進学することになる薬学部ですが、どこに入っても全く同じというわけではありません。
薬剤師国家試験は4年制から6年制への変更からもわかるようにかなりここ数年で大きな変更がされています。
ですので全国の学校ではそうした試験制度の変更に対応しきれていないところも多く、学校によって卒業時の学力に大きな差がついているというのが実情です。
その違いを明確に示しているのが学校別の薬剤師国家試験の合格率で、2015年度の第101回試験のデータを見てみると最も合格率が高いのはいわき明星大学で、98.67%と驚異の数字となっています。
次いで九州大学や東邦大学、明治薬科大学などが90%代の高い合格率です。
一方下位にある大学の合格率は相当に低く、第一薬科大学ではわずか44.41%、帝京平成大学では50.26%と半数程度がようよう合格できるという上位の大学の半分くらいにまで落ち込みます。
薬学部の人数の違いなどももちろん関係あるとは思いますが、ここまで合格率が極端に異なるというのは医師や看護師などの資格ではない現象なので学校選びのときには気をつけたいところです。
なお試験全体の合格率は同じ第101回試験では76.85%となっていて、全国にある薬学部養成課程のある大学73校のうちそれ以上の合格率なのは47校です。
薬学部を卒業することで得られる資格は多数
上記のデータを見ると、卒業時に国家試験を受けても合格できないのなら合格率が低い学校に行く意味があまりないように感じるかもしれません。
ですが薬学部は卒業をするだけで得ることができる資格が多数あるので、仮に薬剤師試験に一発合格をすることができなくても全く意味がないということにはなりません。
いくつか例を挙げると、甲種危険物取扱試験の受験資格や、医薬部外品製造責任者、化粧品製造責任技術者、医療機器製造責任技術者といったようなものです。
他にも食品や衛生、環境関連の資格が卒業と同時に取得できるので薬剤師として以外にも薬学部出身者の仕事は多数あります。
それと、薬剤師試験に合格をすることで同時に特定の資格を取得しなくても同等の業務を担当できるようになります。
例としては医薬品の一般販売業の管理者や、保険薬剤師、学校薬剤師、麻薬管理者などです。
結論としてはやはり薬学部を出たなら薬剤師試験に合格をして薬剤師登録をすることが一番ということになります。