薬剤師カリキュラムの延長の裏側
平成16年(2004年)から、薬剤師を養成するための課程が4年制から6年制に延長になりました。
これは管轄をする厚生労働大臣や省庁主導で行われたものではなく、薬学教育をしていく団体が長年要望を出しそのための調整を行ってきた末の結果です。
薬剤師養成課程の年数を変更したのは中央教育審議会であるそこで「薬学教育の改善・充実について」という提言をまとめたことにより新体制がスタートすることになりました。
現在も薬学部の中には4年制のまま課程が運用されている学校もあるのですが、そちらは薬剤師を育成するのではなく創薬分野の専門家を育成するためというふうに教育の目的を住み分けしています。
4年制の薬学部に進学をしても続きの課程を受けられる学校に編入することで薬剤師国家試験の受験資格を得ることはできますが、やはり最初から薬剤師になりたいという目的がある人は最初から6年制の薬学部に進学をする方が継続的に学習ができるため便利です。
制度としては4年制の薬学部から新たに編入をして薬剤師を目指すルートも残されていますが、大学院に進学するということはそこで研究活動をしながら薬剤師の国家試験対策を同時にしていくということになるので、2年後の卒業時にストレートで合格できる人はほとんどいません。
ですので実質的には4年制の薬学部から大学院に進学するというルートをとるときには最低でも7年間は大学で生活をする覚悟が必要です。
薬剤師専門課程で学ぶカリキュラム
薬学部の養成課程が延長されたことの裏側にあるのが、これまで日本国内でなかなか達成がされてこなかった「医薬分業」を進めたいという意図です。
欧米諸国においては診療を行う病院と薬を出す薬局とが完全に独立しており、特に上下関係はありません。
ですが日本においては長く医療と薬学が一体として扱われてきたという歴史から、どうしても薬学の専門家は医師の下という位置づけがされてしまっていました。
医師は自らの診断により処方箋を発行しますが、かつての薬剤師はその通りに間違いなく薬を出すという事務的作業のみが仕事となっており主体性は求められませんでした。
そうした医薬分業を実践するための方法の一つが6年制の養成課程への変更で、新たなカリキュラムではそれまでは課程に含まれてこなかったコミュニケーション能力や問題発見・解決のための能力を育成する授業が組み込まれています。
なお6年制薬学部には「コアカリキュラム」というものが策定されており、全国にある薬学部は養成課程のうち約70%をこのコアカリキュラムに沿った内容で行い、残りの30%部分に大学独自の教育色をつけた内容としています。
学校選びをするときにはこうしたコアカリキュラム以外の部分の特色にも注目したいところです。
薬学部に進学するためにすべきこと
薬剤師になるにはまずは薬学部に入りそこから薬剤師試験に合格することを目指さなければいけません。
ですのでこれから薬剤師になりたいという人が最初にすべきことは、全国にある薬学部について調べてそこに入学する方法を考えるということです。
薬剤師養成課程の認可校は全国に73ヶ所あり、入学をするためには一般入試の他に推薦入試で入る方法があります。
推薦は高校在学中の10月~11月くらいの早い時期に募集をかけられることが多く、11月下旬~12月初旬くらいには合否がわかります。
試験科目は学校によって若干の差があるものの、化学系の科目および英語、数学は共通した必須科目です。