ジェネリック医薬品に対応する「オレンジブック」
薬剤師として仕事をしていくときには薬の専門書は絶対に必要な用具です。
医薬品業界は非常に早いスピードで研究開発がされており、特にここ最近では特許の切れた薬品のジェネリック医薬品が数多く使用されるようになってきました。
ほんの数年前までは日本国内では最初に創薬した会社の医薬品を使うということが常識となっていてジェネリック医薬品というものの存在が知られていませんでした。
しかしここ10年くらいで急激に世の中にジェネリック医薬品の存在認知や使用推奨が広がっており、必然的に薬を取り扱う薬剤師もそれに対応する能力が問われるようになりました。
「オレンジブック」とはそうした登場してくるジェネリック医薬品を簡単に検索することができる本のことで、もともとは米国のFDA(食品医薬品局)が年に一回発行している公文書をもとに日本版として作られたものです。
名称である「オレンジブック」はこの公文書が毎回オレンジ色の表紙で作られていたことからついた名前で、日本版である「医療用医薬品品質情報集」も同じくオレンジ色の表紙がついています。
ジェネリック医薬品について
日本において「ジェネリック医薬品」という名称そのものはすっかり定着した感がありますが、実際にはもとの薬とジェネリック医薬品がどう違うかということについてはあまり理解されていません。
よくある誤解が「ジェネリック医薬品は最初に作られた薬を別の会社が作った全く同じ薬」ということで、これはある意味正しいのですが、完全にあたっているというわけではありません。
というのもジェネリック医薬品が真似をしているのはもとの薬の成分のみであって、その精製方法や添加物などまで完全にコピーされたものではないからです。
どういった工場でどんな手順のもとで作られたかによって薬の性能に違いが生まれることもよくあり、また新薬を作るときのように長年の治験や改良をしてきたわけではないので、思わぬ副作用を産む可能性もあります。
基本的には同じ薬品成分を使っているので使用をしても問題はないとされていますが、それでも本当にそのジェネリック医薬品は元の薬と全く同じように置き換えても大丈夫なのかということは常にチェックが必要となります。
「オレンジブック」ではそうした元の薬と新たに登場したジェネリック医薬品を比較してて、性能面を評価した内容を詳しく記載しています。
一つの薬に対して複数のジェネリック医薬品があるときにはそれぞれがどう違うかを比較できるので、薬選びのときに非常に役立ちます。
薬品名から薬の名前を調べられるのが便利
このオレンジブックがとても便利なのが、学生の時に覚えた薬品名から薬を調べる事ができるという点です。
これまでの日本の調剤の現場での習慣では、在学中には薬品名で覚えていた薬を、現場では商品名として覚え直すというふうにしてきたからです。
実質的に一つの薬品名に対して該当する薬剤製品が一つしかないならそうした覚え方の方が楽だったのですが、現在のように一つの薬品名に対して複数の薬・ジェネリック医薬品が使われるようになるとその覚え方はかえって不都合です。
そこでオレンジブックでは薬品名から薬を検索できるようになっているので、呼び方に混乱することなく必要な薬の種類を素早く調べることができます。